家族滞在
1. 家族滞在とは
「家族滞在」とは、日本に在留する外国人の扶養を受ける配偶者や子どもが日本に在留するための在留資格です。この在留資格を持つことで、日本に滞在しながら扶養者と共に生活することが可能となります。
2. 家族滞在が適用される対象者
(1) 対象者
- 扶養者の配偶者
- 法律上の婚姻関係があること(事実婚は原則認められない)。
- 扶養者の子ども
- 実子または養子(法的に認められた養子)であること。
(2) 扶養者の条件
「家族滞在」を申請するには、扶養者が以下の在留資格を有している必要があります:
- 「教授」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「技能」「特定技能」などの就労ビザ
- 「留学」「文化活動」「特定活動(就労を伴わないもの)」などの在留資格を持つ外国人
3. 家族滞在で注意すべき点
(1) 扶養者による経済的支援
- 扶養者が十分な収入や資産を持ち、配偶者や子どもを養うことができる経済力が必要です。
- 経済力の証明として提出する書類:
- 給与明細書
- 納税証明書
- 預金通帳の写し
(2) 在留資格に基づく活動制限
- 「家族滞在」の資格では原則として就労は認められていません。
- 例外:資格外活動許可を取得すれば、週28時間以内のアルバイトが可能。
(3) 滞在中の活動目的に合致すること
- 家族としての扶養関係を維持している必要があります。
- 例えば、扶養者と別居が長期間続く場合、資格更新が難しくなることがあります。
(4) 偽装結婚・偽装申請の防止
- 偽装結婚を疑われる場合、申請が拒否される可能性があります。
- 婚姻証明書、家族写真、生活費の送金記録などを提出して実態のある関係を証明する必要があります。
4. 申請手続きに必要な書類
(1) 在留資格認定証明書交付申請(新規)
- 日本国外から家族を呼び寄せる場合に必要。
- 主な必要書類:
- 申請書
- 扶養者の在留カードとパスポートのコピー
- 扶養者の住民票
- 経済力を証明する書類
- 戸籍謄本や婚姻証明書(翻訳付き)
(2) 在留期間更新許可申請
- 滞在期間が満了する前に更新申請が必要。
- 必要書類:
- 更新申請書
- 扶養者の在職証明書や収入証明書
- 扶養者との同居を証明する書類(住民票など)
(3) 在留資格変更許可申請
- 別の在留資格を持つ人が「家族滞在」に変更する場合。
- 必要書類:
- 変更申請書
- 扶養者の経済力証明
- 扶養関係を証明する書類
5. 審査で重要視されるポイント
(1) 経済的安定性
- 扶養者が十分な収入や資産を持ち、申請者を扶養する能力があること。
- 収入が不十分と判断された場合、申請が認められない可能性があります。
(2) 扶養関係の実態
- 実際に扶養していることを証明するため、生活費の送金記録や同居の証拠が求められることがあります。
(3) 扶養者の在留資格と活動状況
- 扶養者自身が適切な在留資格を持ち、その活動を正しく行っているかが確認されます。
(4) 実態のある婚姻関係
- 偽装結婚を疑われないために、婚姻証明書や同居証明書が必要。
6. 在留資格「家族滞在」の更新・変更での注意点
(1) 扶養者の状況変化
- 扶養者が失職、帰国、または在留資格を変更した場合、「家族滞在」の資格が影響を受けることがあります。
(2) 日本滞在の目的変更
- 滞在中に配偶者や子どもが独立して働く場合、「家族滞在」から「就労ビザ」などへの変更が必要。
(3) 期限切れに注意
- 在留期間が切れる前に必ず更新申請を行うこと。
- 更新を忘れると不法滞在となり、罰則が科される可能性があります。
7. サポートを活用する方法
(1) 専門家の相談
- 行政書士や入管専門の弁護士に相談し、手続きの漏れやミスを防ぐ。
(2) 地域の外国人支援センター
- 地方自治体やNPOが運営する支援センターでは、多言語対応で相談を受け付けています。
(3) 入管公式サイトの利用
- 必要な書類や最新の手続き情報は、入管庁の公式ウェブサイトで確認可能。
8. 注意点のまとめ
- 経済力の証明:扶養者の安定した収入が重要。
- 扶養関係の維持:長期間の別居は避ける。
- 活動制限の遵守:就労には資格外活動許可が必要。
- 更新手続きの期限:期限切れを防ぐため早めに準備。
- 正確な書類作成:虚偽や不備がないよう注意。
- 偽装申請の回避:婚姻や扶養の実態を証明する資料を準備。
在留資格「家族滞在」は、扶養者の安定性や実態のある関係を示すことが非常に重要です。手続きをスムーズに進めるためには、専門家や支援機関のサポートを積極的に活用することをおすすめします。